人間ドックでおすすめのオプション検査とは?|基本検査の内容やオプション検査の選び方を解説

記事の監修

グランソール奈良 院長辻村 貴弘

<経歴>

2000年3月奈良県立医科大学大学院薬理学専攻修了
2001年4月グランソール奈良開設 院長に就任
2005年3月医療法人拓誠会 辻村病院 理事長に就任
2010年3月京都府立医科大学大学院免疫・微生物学専攻修了
資格:医学博士、日本人間ドック学会認定医

人間ドックとオプション検査の基礎知識

人間ドックは、がんや生活習慣病などの病気を早期に発見するための総合的な検査です。

基本コースには、身体検査や血液検査、尿検査など、全身の健康状態を把握するための一般的な検査が含まれています。

近年、生活習慣や年齢・性別に応じて詳細な検査が求められるようになっております。

そして、その役割を担うのが「オプション検査」です。

オプション検査は、基本検査でカバーできない臓器や疾患リスクを調べるために追加します。

たとえば、頭部MRIや心臓エコー、婦人科検診、前立腺検査などがあります。

自分に合った検査を受けることで安心感にもつながります。

特に30代以降はライフスタイルや加齢によってリスクが高まります。

オプション検査を活用することは「未来の健康投資」と言えるでしょう。

 

人間ドックの基本検査内容とは?

人間ドックの基本検査は、全身のスクリーニングを効率よく行うために設計されています。

身体測定や血圧測定、視力や聴力、尿検査で体内の状態を確認します。

また、採血では血糖値や肝腎機能、尿酸値などを幅広くチェックします。

胸部X線は肺や心肥大の所見に役立ち、心電図は不整脈などの手がかりになります。

他にも、便潜血は大腸がんのスクリーニングに、胃カメラ(またはバリウム)は胃潰瘍や早期がんの発見につながります。

腹部超音波は肝胆膵腎の結石・脂肪肝・腫瘤性病変の確認に有効です。

基本項目では、生活習慣病の前段階から臓器の異常サインまで幅広く把握できます。

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基本精密ドック

 

人間ドックのオプション検査はどんな位置づけ?

オプション検査は「気になる部位を深掘りする追加ピース」です。

過去の結果や家族歴、生活習慣から見える個別リスクに合わせてカスタマイズします。

たとえば、脳MRI/MRAは脳梗塞の予兆や未破裂動脈瘤の評価を行うために有効です。

他にも、心エコーや冠動脈CTは心筋の働きや冠動脈の狭窄リスクを可視化します。

低線量肺CTは喫煙歴が長い方の肺がんスクリーニングに有用です。

「自分に必要な検査」を選択し、過不足なく選ぶことが理想です。

 

オプション検査を追加することで得られるメリット

オプション検査の最大のメリットは「見逃しの最小化」と「行動の具体化」です。

解像度の高い画像検査や内視鏡を追加することで、基本検査だけでは拾えない微細な病変や前がん病変、血管の狭窄傾向を早期に把握できます。

血管の硬さや狭窄所見が分かれば、食事・運動・服薬などの優先度が明確になります。

さらに、個別リスクに合わせて選ぶことで過剰検査を避け、最適な検査内容にできます。

検査費用は上がりますが、将来の医療費や入院等によるダウンタイムを減らす“投資効果”が期待できます。

 

【年代別】男性におすすめのオプション検査

男性は30代から生活習慣病のリスクが高まり始めます。

そして40代では心疾患やがんの発症率が上昇し、50代以上では前立腺や動脈硬化など加齢特有のリスクが顕著になります。

30代では血糖値や脂質異常、肝機能・腎機能を調べる検査などが有効です。

40代になると動脈硬化を早期に察知する頸動脈エコーや心臓エコー、胃カメラを追加することで健康寿命を延ばす備えになります。

50代以降では、前立腺がん検査や心臓エコー、頭部MRIなど、命に直結する病気を早期に発見するための検査が重要です。

年代に合わせたオプション検査を選ぶことで、病気の「予防や早期発見」につながります。

 

30代男性|見逃されがちな生活習慣病リスクに注意

30代男性は自覚症状が乏しい一方で、実は生活習慣病の“予備軍”が増える時期。

飲酒・外食・不規則な生活で、肝機能や血糖値などが悪化しやすい傾向があります。

基本検査に加え、腹部エコーで脂肪肝や胆石をチェックし、尿酸や腎機能の推移を管理することが理想です。

胃の不調やピロリ菌既往があれば胃カメラを、喫煙者は胸部CTを検討しましょう。

30代かえあ指標を“見える化”し、生活習慣を整えることが40代以降のトラブル予防につながります。

 

40代男性|検査選びで健康寿命が変わる年代

40代は動脈硬化の進行が加速しやすく、血圧・脂質・血糖の管理が重要です。

頸動脈エコーや動脈硬化検査(ABI/CAVI)で血管の硬さやプラークを評価しましょう。

心電図だけでなく、心エコーで不整脈や心筋の働きを立体的に把握しておくこともオススメです。

また、胃カメラ(またはバリウム)を定期的に受診しましょう。

肝脂肪があれば食事と運動の改善を行い、体重管理を強化しましょう。

40代で指標を整えるか否かは、その後の心血管リスクに影響します。

検査結果は“現状診断”と“行動指針づくり”の両輪で捉えましょう。

 

50代以上の男性|前立腺・動脈硬化など加齢に伴うリスク対策

50代以降は、がんや心疾患、脳血管疾患の主要リスクが顕在化します。

前立腺スクリーニング検査(PSA検査)を行い、数値に応じて泌尿器科で精密検査(MRI・生検の要否)を検討しましょう。

心エコーや頸動脈エコー、動脈硬化検査(ABI/CAVI)で血管の負荷を多角的に評価します。

肝腎機能や貧血の推移、体重・筋量の維持も重要になります。

眼底検査で微小血管の変化を把握し、糖尿病や高血圧の合併症予防につなげます。

検査後は、服薬や生活習慣の改善、再検査を必要に応じて行いましょう。

 

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オプション検査

 

【年代別】女性におすすめのオプション検査

女性はライフステージによって必要な検査が変化します。

子宮頸がん検診や乳がん検診を年齢に応じて組み合わせることがおすすめです。

また、更年期によるホルモン変化が骨粗しょう症や心疾患のリスクを引き上げます。

従って、骨密度検査や心電図、心臓エコーを追加することが理想的です。

女性は特に「がん検診の受診率が低い」と言われる傾向があります。

基本検査に加え、オプション検査を積極的に取り入れることが大切です。

 

30代女性|妊娠・出産に備えて意識したい検査

30代は妊娠・出産や仕事と家庭の両立で体調の変化が起きやすい時期です。

基本検査に加え、子宮頸部細胞診やHPV検査を受診しましょう。

加えて、マンモグラフィーや乳腺エコーで乳がんの予防や早期発見に努めましょう。

貧血や甲状腺機能の異常は体調不良の背景になりやいです。

そのため、血液検査や甲状腺エコーを受診しておくと安心です。

妊娠を希望される場合は、放射線を用いる検査の実施時期を医師に相談し、安全性を優先しましょう。

体重・PMS・偏頭痛など普段の悩みも遠慮なく共有し、自分に適した検査や生活アドバイスを受けることが大切です。

 

40代女性|乳がん・子宮のリスクを早期にキャッチ

40代女性は乳がん・子宮体がんのリスクが高まり始める年代です。

乳房はマンモグラフィと乳腺エコーの併用で“しこり化前”の微細変化も発見しやすくなります。

子宮は頸部細胞診に加え、経腟エコーで子宮筋腫や内膜肥厚、卵巣嚢胞などをチェックしましょう。

脂質異常や血圧の上昇、体組成の変化も起こりやすくなります。

頸動脈エコーや動脈硬化検査(ABI/CAVI)で動脈硬化の兆しを可視化しましょう。

忙しい世代ほど「年1回の定期検査」でデータを蓄積し、変化の早期検知につなげましょう。

検査後は必要に応じて食習慣・運動・睡眠の改善を行います。

その後は、年に1度の検査と改善を継続することが重要です。

 

50代以上の女性|ホルモン変化に応じた健康対策

更年期以降はエストロゲン低下に伴い、骨粗しょう症・脂質異常・心血管疾患のリスクが上昇します。

骨密度測定やビタミンD、カルシウム摂取状況の確認・評価を行いましょう。

また、乳がん検診(マンモ・乳腺エコー)や婦人科検診の継続的な受診も重要です。

体重は増えなくても内臓脂肪が増えやすく、肝脂肪・糖代謝の悪化に注意が必要です。

頸動脈エコーや心エコー、血圧脈波で血管年齢を評価し、必要に応じて薬物治療を検討します。

尿もれ・頻尿など、骨盤底の悩みは泌尿婦人科での相談も有用です。

睡眠の質や気分変調、ホットフラッシュなど生活の質に関わる症状についても遠慮なく共有し、検査と生活・治療の両面から対策を進めましょう。

 

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家族歴・体質・生活習慣別のおすすめオプション

遺伝的な背景や生活習慣によって、リスクの高い病気は異なります。

たとえば家族にがんや糖尿病、高血圧の既往がある場合は、その部位に応じたオプション検査を追加することをおすすめします。

また、喫煙習慣のある方は胸部CT、飲酒量が多い方には肝臓・膵臓の精密検査がおすすめです。

さらに、ストレスの多い方は心疾患リスクが高まりやすいため、心電図や心臓エコーを検討しましょう。

このように、自分自身の体質や生活習慣を把握し、それに応じたオプションを選ぶことで「オーダーメイドの人間ドック」が実現できます。

 

家族にがん・生活習慣病の既往がある方におすすめ

家族に早期発症のがんや心筋梗塞、脳卒中、糖尿病がある場合は、より早い段階での検査が推奨されます。

乳がん・卵巣がんで家族歴がある場合は、乳腺エコー・マンモの併用に加え、婦人科での個別相談をおすすめします。

近年は、MRIを用いた乳がん検査もあり、検査着を着たまま検査できます。

また、心血管家系の場合は頸動脈エコーや動脈硬化検査、心エコーを検討しましょう。

糖尿病や高脂血症の家系であれば、若い年代から血糖や脂質、肝機能の推移を可視化し、より良い生活習慣を早期に身につけましょう。

年齢や症状にかかわらず、家族に病歴がある部位は早期の検査が大切です。

 

喫煙・飲酒・ストレスが多い方が追加すべき検査

喫煙者は心肺リスクが高いため、胸部CTの適応可否を医師に相談しましょう。

心血管は頸動脈エコーや動脈硬化検査で動脈硬化の兆しを確認します。

飲酒が多い方は腹部エコーで脂肪肝や線維化の評価、γGTPや腫瘍マーカーの推移を管理することが有効です。

ストレスや睡眠不良が続く方は、血圧・血糖の乱高下や不整脈の確認に心電図を検討しましょう。

生活習慣に合わせたオプション検査を追加し、予防と早期発見の確率を同時に高めましょう。

 

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部位別に見る人気のオプション検査

オプション検査は部位ごとに選ぶことも有効です。

たとえば脳であれば、頭部MRI/MRAで脳梗塞や動脈瘤をチェックできます

また、心臓は心エコーやCTで冠動脈の状態を確認します。

肺はCT検査で早期がんの発見が可能です。

内視鏡検査では、ポリープやがんの兆候を調べられます。

肝臓・膵臓・腎臓はエコーや血液検査で検査できます。

「特に不安を感じるところ」に焦点を当てやすくなり、検査の優先度を判断する助けになります。

 

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オプション検査

 

脳の検査

脳ドックの主力はMRI/MRA検査です。

脳梗塞の痕跡や小さな出血、未破裂動脈瘤、血管の狭窄・蛇行を非侵襲で評価できます。

他にも、頸動脈エコーで頸動脈プラークや血流の状態を把握できます。

これらのオプション検査は、脳血管疾患の予防や早期発見に役立ちます。

検査で所見が見つかった場合は、神経内科や脳神経外科での精密検査を受けましょう。

画像は年単位で比較することで進行度の把握ができ、将来のリスク低減につながります。

 

心臓の検査

基本項目として含まれている心電図検査では、不整脈や心肥大などがわかります。

より詳しく調べたいときは、心エコーやLoxindex検査を追加しましょう。

心エコーでは、心臓の大きさや壁の厚さ、弁の動きなどがわかります。

Loxindex検査は、将来の心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを評価する血液検査です。

また、動脈硬化検査で血管の硬さを測れば、全身の動脈硬化度も俯瞰できます。

糖尿病や脂質異常などが重なる方は、オプション検査を追加してリスク低減と早期発見につなげましょう。

 

肺の検査

肺の主なオプションは胸部CTです。

胸部X線よりも検出感度が高いとされています。

特に、重喫煙者では死亡率上昇効果が示唆されています。

喫煙歴や年齢、家族歴や職業などを考慮して医師と相談しましょう。

禁煙支援と同時に実施すると、より効果的です。

 

胃の検査

胃の精密検査は胃カメラ(内視鏡)やバリウム(X線)が中心です。

潰瘍や萎縮、早期がんやポリープを直接観察でき、その場で組織検査も可能です。

胸やけや胃もたれ、貧血などの症状がある方は優先的に受診しましょう。

ピロリ菌検査を併用し、陽性であれば早めに除菌しましょう。

長期の胃がん予防や早期発見につなげましょう。

 

肝臓・膵臓・腎臓の検査

肝胆膵腎の一次スクリーニングとして腹部エコーはオススメです。

検査による負担が小さく、脂肪肝や胆石、腎結石などの発見に有効です。

腎機能は尿検査や血圧、糖尿病と併せて管理しましょう。

また、腫瘍マーカーは補助的情報であり、画像検査や内視鏡検査、病理検査と組み合わせて判断します。

単発所見に一喜一憂せず、経時的な比較をすることが大切です。

 

女性特有の検査

乳がんはマンモグラフィと乳腺エコーを組み合わせると検出感度が向上します。

マンモグラフィーの痛み等が受診を妨げている場合、MRI乳がん検査の受診をオススメします。

高濃度乳腺の方や若年層ではエコーの寄与が大きく、40代以降はマンモの重要度が高まります。

また、MRI乳がん検査は高濃度乳腺の方にも向いていると言われています。

子宮頸部細胞診やHPV検査、経腟エコーの定期受診も大切です。

更年期世代の方は、骨密度測定や動脈硬化検査の追加をおすすめします。

恥ずかしさや不安は当然の気持ちです。

女性スタッフ対応やプライバシー配慮のある施設を選ぶと安心です。

 

男性特有の検査

前立腺の一次スクリーニングにはPSA検査が広く用いられます。

加齢や前立腺肥大でも数値が上がることもあります。

従って、単独で判断せず必要に応じてMRIや生検で確定診断を行いましょう。

また、勃起機能低下や夜間頻尿は心血管リスクを高める可能性があります。

メタボ傾向があれば生活習慣を改善し、経時的な変化を確認しましょう。

数値の経年変化を追うことで、将来の疾患予防や早期発見につながります。

 

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オプション検査

オプション検査の選び方でよくある質問と注意点

オプション検査はすべての人に必要というわけではありません。

年齢や性別、家族歴や生活習慣に応じて選ぶことが大切です。

たとえば、「腫瘍マーカー検査は受けたほうがいい?」という質問がよくあります。

腫瘍マーカーは補助的な検査であり、必ずしもがんの有無を特定できるものではありません。

過信せず、画像検査や内視鏡と組み合わせて利用するのが望ましいでしょう。

また、費用については基本的に医療費控除の対象にはなりません。

しかし、一定の条件を満たせば医療費控除の対象になる場合もあります。

検査を受ける前に、費用や対象条件を確認しておきましょう。

大切なのは「受けるだけ」ではなく、自分に必要な検査を理解して選択することです。

 

すべての人にオプション検査は必要?

オプション検査はすべての人に必要なわけではありません。

年齢や性別、家族歴や既往歴、生活習慣などを踏まえて追加することが賢明です。

基本検査で広くスクリーニングし、結果に合わせたオプション検査の追加が合理的です。

検査は“受けること”が目的ではなく、“次の行動を決めるための情報収集”と言えます。

医師や保健師と相談し、目的・頻度・タイミングを決めましょう。

 

腫瘍マーカー検査は受けたほうがいい?

腫瘍マーカーは血液中の指標で、がんの存在を示唆する補助的な検査です。

一次スクリーニングとしては感度・特異度が不十分であり、偽陽性・偽陰性の課題があります。

炎症や良性疾患でも数値が上昇することがあります。

したがって、腫瘍マーカー単独で「安心/不安を決めない」が鉄則です。

画像検査や内視鏡検査、病理検査と組み合わせて経時的変化を見て判断します。

 

医療費控除の対象になる?

日本の医療費控除では、人間ドックや健康診断の費用は原則として対象外です。

これは疾病の治療を目的としない“健康増進のための支出”と位置づけられるためです。

ただし例外として、健診の結果で重大な疾病が発見され、その後の治療に先立つ診療・検査費用が発生した場合、当該費用は医療費控除の対象になり得ます(会社補助分を除く等)。

また、医師の指示に基づく再検査・精密検査が“診療等に該当”する場合も取り扱いが異なるため、領収書・結果通知は保管し、最新の国税庁情報や税理士に確認を行いましょう。

制度は改訂され得るため、申告前に公式情報で要件を必ずチェックしましょう。

 

 

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人間ドックを受けるなら「グランソール奈良」へ

人間ドックは、自分の体を守るための大切な予防医療です。

特に、オプション検査の追加で早期発見できる可能性が広がります。

グランソール奈良では、精密な検査と経験豊富な専門医による診断を提供しています。

また、幅広いオプション検査があり、個々に合わせた検査の追加が可能です。

さらに、婦人科検診では女医の勤務日を設けております。

詳しくはホームページの「お知らせ」欄をご確認ください。

「どんな検査を選べば良いか迷っている」という方は、一度ご相談ください。

皆さまのご来院をスタッフ一同お待ちしております。

 

関連サービス

 

 

<参考文献>

人間ドックの費用/医療費控除(国税庁)

2025年度一日ドック基本検査項目表(日本人間ドック・予防医療学会)

基本検査項目/判定区分(日本人間ドック・予防医療学会)