「免疫療法とは?図解でがん治療の仕組みをわかりやすく解説」

免疫療法とは、がん治療において注目される治療法です。本記事では免疫療法の種類や仕組み、副作用まで図解付きでわかりやすく解説します。
今回は、第4のがん治療として注目される「免疫療法」を紹介します。
近年、少子高齢化が加速するわが国では
およそ2人に1人は生涯のうちに「がん」と診断されるというデータが出ています。
日本人のがん診断率は男性62.1%、女性48.9%です。(2020年データ)
がんで死亡する確率は男性24.7%、女性17.2%となっています。(2023年データ)
かつての『がんは不治の病』という認識は、大きく変化しています。
医療の発展により、がんは早期発見と早期治療で治る確率が高まりつつあります。
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免疫療法とは
免疫療法とは、人間に備わっている「免疫力」を活用した治療方法のことです。
大きく分けると2種類の治療方法があります。
一つ目は「がん免疫細胞治療」など、免疫の攻撃力を高める方法。
二つ目は「免疫チェックポイント阻害薬」を使用して、免疫を抑制するブレーキを解除する方法です。
本記事では免疫の攻撃力を高める「がん免疫細胞治療」を中心に説明します。
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【「免疫」とは?】
免疫とは、細菌やウイルスの侵入を防ぎ、体を守る仕組みです。
私たちの身体は、免疫システムが正常に機能することによって健康な状態を維持しています。
しかし、加齢や生活習慣などさまざまな要因によって免疫力の低下が起こります。
免疫力が低下すると、風邪やインフルエンザ、がんなどの病気になりやすいと言われています。
【免疫細胞の種類】
免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の主に二つがあります。
▪自然免疫:生まれつき備わっていて、抗原体やがん細胞を発見して排除する。
⇒NK細胞、NKT細胞、好中球、マクロファージなど
▪獲得免疫:侵入してきた細胞やウイルスを記憶し、当てはまる抗体を作って排除する。
⇒T細胞、B細胞、樹状細胞など
免疫力の中心を担っているのがリンパ球やマクロファージなどの細胞です。
その中でも、異常な細胞を排除する役割を担うのが「T細胞」や「NK(ナチュラルキラー)細胞」、「NKT細胞」と呼ばれるリンパ球です。
他に、がん細胞を貪食・消化することでがん細胞の特徴をT細胞へ伝達し、T細胞を活性化させてがん細胞への攻撃を促す働きをする「樹状細胞」があります。
【免疫力を高める方法】
近年は、「免疫力を高める方法」としてさまざまな食品やサプリメント、運動などが紹介されています。
そんな中、あまり知られていない方法として免疫療法があります。
例えば、「活性化自己リンパ球療法」は免疫バランスを調整して正常化させる効果が期待できます。
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免疫治療の流れや安全性
免疫細胞治療は大きく2種類に分けられます。
「活性化自己リンパ球療法」と「樹状細胞ペプチドワクチン療法」です。
・活性化自己リンパ球療法
⇒ご自身の免疫細胞を増殖・活性化させて、再び体内へ戻すことで免疫力のバランス調整・正常化を図る治療方法。
「NK細胞療法」、「T細胞療法」、「γδNKT細胞療法」があります。
・樹状細胞ペプチドワクチン療法
⇒ご自身の樹状細胞に体外でがんの特徴を覚えさせ、体内へ戻すことで免疫細胞にその特徴を教え、がん細胞への攻撃を図る治療方法。
【治療の流れと治療期間】
治療の流れは次のとおりです。
1.血液(約50㏄~100㏄)を採取
2.リンパ球を分離し、培養・活性化(約3週間)
3.点滴で体内へ戻す(約1時間)
※樹状細胞療法の場合、培養の際にがんの情報を覚えさせる。
1回の治療に必要な期間は約3週間で、一般的には6回1クールが推奨されているため約4~5ヶ月が目安となります。
ただし、再発予防や免疫力向上が目的の方は半年に1回や年に1回など、人それぞれ実施期間は異なります。
【免疫療法で期待される効果と副作用】
免疫細胞治療によって期待される効果はいくつかあります。
まず、免疫細胞の攻撃力が向上することです。
ご自身の免疫力向上によってがん細胞の活動を抑制し、体内から除去することが期待されます。
次に、標準治療で取り残した微細な「がん」を免疫細胞治療によって除去することが期待できます。
つまり、再発予防としての効果も期待されています。
さらには、標準治療と併用することで相乗効果も期待できます。
しかし、治療効果には個人差があり、必ずしも効果を保証するものではありません。
ご自身の免疫細胞を使うため、副作用はほとんどありません。
稀に発熱を生じることなどがありますが、これは免疫が活発化している証拠であり、時間の経過と共に治ることが一般的です。
「吐き気」や「脱毛」などの副作用は、標準治療に比べて極めて少ないとされています。
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【免疫療法の安全性について】
日本では、平成26年11月に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行されました。
それに伴い、再生医療等の安全性の確保に関する手続きや細胞培養加工のルール等が定められました。
つまり、再生医療等を提供しようとする医療機関又は特定細胞加工物を製造しようとする場合は、事前に所定の手続きが必要となりました。
手続きをしてない場合は法律違反となり、罰則が適用されることになりました。
詳しくは下記参考資料をご確認ください。
▾参考資料:厚生労働省より「再生医療等の安全性の確保等に関する法律について」
免疫細胞治療の対象者
治療の対象となるのは「(一部の白血病等を除く)がんに罹患している方」「過去にがんを罹患したことがあり再発を予防したい方」「がんの予防をしたい方」となります。
治療の目的や治療対象者の状態等によって治療回数や治療期間等が異なるため、次に詳しく紹介します。
【がんに罹患中の方】
(一部の白血病等を除く)がんに罹患中の方は病期(ステージ)やがん種に関わらず対象となります。
病期に関しては、できる限り早い時期から治療することでより高い効果を期待できます。
詳しくはグランソール奈良へお問い合わせください。
標準治療(手術、放射線治療、抗がん剤治療)を行っている方も対象となり、併用することで相乗効果が期待されています。
治療を行う際は通院する必要があります。
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【過去にがんを罹患した方】
免疫細胞治療は微細な「がん(細胞)」を除去することが期待されています。
過去、がんになった経験がある方は「微細ながん(細胞)」が残っている可能性があります。
そのため、再発が心配な方にも免疫細胞治療をお勧めいたします。
再発する確率が最も高い期間は、がんの診断を受けてから5年間までだと言われています。
しかし、5年間で再発しなければ以降は再発しないということではなく、5年を経過しても再発の可能性はあります。
再発予防として免疫細胞治療を検討されている方はお気軽にお問い合わせください。
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【免疫療法でがんを予防したい方】
近年、日本人の約2人に1人が生涯のうちに『がん』になると推定されています。
下記のようなデータが出ています。
▾一生のうちにがんと診断される確率(2020年データに基づく)
・男性 62.1%
・女性 48.9%
▾がんで死亡する確率(2023年データに基づく)
・男性 24.7%
・女性 17.2%
加齢や生活習慣の乱れが気になっていたり、がん家系で心配な方は
免疫細胞治療によって免疫力のバランス調整による正常化が期待できます。
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がんのメカニズム
基本的にがんの発生要因は、遺伝子が傷つくことによるものです。
では、なぜ遺伝子に傷がつくのか。その要因は一つに限ったことではありません。
今のところ、日本人を対象とした研究では、喫煙や過度な飲酒・塩分の多い食事・野菜や果物を摂らない・太りすぎや痩せすぎ・運動不足・ウイルスや細菌への感染が要因だと言われています。
【がん細胞と免疫細胞の関係】
遺伝子の変異によるがん細胞の発生は日々私たちの体内で起こっています。
その数は一日で約5000個とも言われています。
しかし、免疫細胞が正常に機能していれば、がん細胞が「がん化」することを防いでくれます。
一方で、免疫力の低下等によって免疫システムを回避したがん細胞は、分裂・増大を続けます。
【がんの発生過程と免疫療法のアプローチ】
遺伝子に異変が起きてから「発がん」するまでの期間は、およそ5~20年あるとされています。
また、発がんしてから転移や拡大が起こるまでの期間はおよそ1~3年だとされています。
つまり、早期発見と早期治療が重要なことはもちろん、できるだけ遺伝子の異変が起こらないようにその要因を取り除くことが重要だと考えられます。
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免疫細胞治療にかかる費用
免疫細胞治療などの免疫療法は保険適用外のものが多いため、医療機関によって費用が異なります。
受診を検討する際は、医療機関に直接確認しましょう。
目安となる金額を次に詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【治療費の目安】
グランソール奈良で実施している免疫細胞治療の費用をご紹介いたします。
1回あたりの治療費は、286,000円~352,000円(税込)。
初診料11,000円(税込)と感染症検査5,500円(税込)が別途かかります。
治療に使用する細胞の種類によって異なるため、詳しくはお問い合わせ下さい。
その他、必要に応じて各種検査を行う場合があります。
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【治療プラン例とその費用シミュレーション】
治療回数や治療期間については、治療を受ける目的や患者様の状態によって異なります。
がん治療として受けられる場合は、基本的に1クール6回が推奨されています。
1回あたりの治療(細胞の培養・活性化)に約2~3週間かかるため、治療期間はおよそ3~4ヶ月ほどかかります。
しかし、入院の必要はなく採血と点滴の際にのみ通院する形となります。
6.まとめ
免疫細胞治療は、標準治療の限界を補うための次世代の治療法として多くの医療機関で実施されています。
また、最近では再発予防やがん予防としても注目されています。
ただし、公的医療保険の適用外であるため、費用面で課題が指摘されています。
さまざまな面で今後のさらなる発展にも期待が高まります。
※参考文献”
グランソール免疫研究所|がん免疫学領域の研究を中心にがん治療・再生医療などに役立つ研究・技術開発・人材育成
免疫療法 もっと詳しく:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]