免疫力が低下する原因とは?|体が弱るメカニズムと今日からできる対策

記事の監修
グランソール奈良 院長辻村 貴弘
<経歴>
| 2000年3月 | 奈良県立医科大学大学院薬理学専攻修了 |
|---|---|
| 2001年4月 | グランソール奈良開設 院長に就任 |
| 2005年3月 | 医療法人拓誠会 辻村病院 理事長に就任 |
| 2010年3月 | 京都府立医科大学大学院免疫・微生物学専攻修了 資格:医学博士、日本人間ドック学会認定医 |
免疫力低下の原因とは一体何か…
免疫力が低下すると何が起こるのか?
私たちの体は、外部から侵入するウイルスや細菌、
そして体内で生じる異常細胞から身を守るために
「免疫」という防御システムを備えています。
しかし、睡眠不足やストレス、加齢など、さまざまな
要因によって免疫機能は低下します。
免疫力が落ちると風邪をひきやすくなったり、
疲れが抜けにくくなったり、体調を崩しやすくなることも。
近年は季節の変わり目や感染症対策の観点から、
免疫力に注目が集まっています。
本記事では、「免疫力が低下する原因」をわかりやすく
解説し、今日から始められる改善策や医療機関で
相談できる方法も紹介します。
「最近体が弱ってきたかも…」と感じる方が、
無理なく実践できるヒントをまとめました。
免疫力とは?|体を守る仕組みをやさしく解説

|NKT細胞・白血球などの役割
免疫は、さまざまなタイプの細胞が連携して働く
“チーム”のような仕組みです。
中でも重要なのが、体内の異常を見つけて攻撃する
「NK細胞」、異常細胞や病原体に目印をつけて
免疫反応を高める「樹状細胞」、そしてウイルスや細菌と
直接戦う白血球(好中球・リンパ球など)です。
また、がん細胞に対して強い抗腫瘍作用を持つ
「NKT細胞」も、免疫バランス維持に欠かせません。
これらの細胞が適切に働くことで、病気から体を守り、
健康を維持しています。
しかし、生活習慣の乱れや加齢によって細胞の数や働きが
低下すると、体の防御力は弱くなります。
基本の免疫対策は、これらの細胞が働きやすい体環境を
整えることにあります。
|「免疫力低下」とはどういう状態か
「免疫力低下」というと曖昧に聞こえますが、
実際には“免疫細胞が十分に働けていない状態”を
指します。
例えば、睡眠不足によって免疫細胞の回復が
追いつかない場合や、ストレスで交感神経が優位になり
続けると、体は常に緊張状態となり免疫機能が抑制されます。
また、腸内環境の乱れによって腸粘膜の免疫機能が
落ちると、病原体に対する初期防御力が弱まります。
免疫力の低下は、「風邪をひきやすい」「疲れがたまる」
「治りが遅い」などとして現れますが、放置すると慢性的な
体調不良につながることも。
原因を正しく理解し、生活習慣を整えることが免疫ケア
の第一歩です。
免疫力低下の主な原因

|①生活習慣(睡眠不足・食事の偏り・運動不足)
免疫力に最も影響するのは日々の生活習慣です。
まず、睡眠不足は免疫細胞の回復を妨げ、
ウイルスや細菌に対する抵抗力を弱めます。
特に深い睡眠(ノンレム睡眠)が不足すると、
NK細胞の働きが低下することが知られています。
食事も大切で、たんぱく質不足は抗体の材料が不足する
原因となり、ビタミン・ミネラル不足は免疫細胞の代謝を
妨げます。
また、運動不足は血流の停滞を招き、免疫細胞の巡回が
低下するため、体全体の防御機能が弱まります。
一方、激しすぎる運動は逆に免疫力低下を起こすことも
ある為、適度な運動が大切です。
「よい睡眠・栄養・運動」がバランスよく整っている生活こそ、
免疫力を維持する基本といえます。
|②ストレスや交感神経の過剰な緊張
ストレスは免疫力低下を引き起こす大きな要因です。
精神的ストレスが続くと、体は「戦闘モード」である
交感神経が優位な状態になり、血管が収縮し、
消化機能が低下し、免疫の働きが抑えられます。
副腎から分泌されるストレスホルモン「コルチゾール」も
免疫機能を抑制する作用があり、慢性的に高い状態が
続くと風邪や感染症にかかりやすくなります。
現代人は仕事や家庭、情報過多などでストレスに
さらされやすく、無意識のうちに免疫力低下につながる
ケースも多いです。
ストレスケアのポイントは、
「緊張状態をリセットする時間をつくること」です。
深呼吸やストレッチなど、短時間でもリラックスできる
習慣が免疫力を下支えします。
|③加齢に伴う免疫細胞の減少
年齢を重ねると、免疫細胞の数や働きは徐々に低下
していきます。
特に60歳以降はNK細胞の活性が低下しやすく、
感染症やがんのリスクが上昇するといわれています。
また、胸腺という免疫細胞を育てる器官が萎縮していく
ため、T細胞の質も変化します。
その結果、「昔は風邪をひきにくかったのに」という方でも
免疫力の衰えを感じることがあります。
加齢による免疫低下は避けられませんが、
生活習慣の改善や医療機関での検査・ケアによって
“免疫機能をできる限り維持すること”は可能です。
特に中高年は、体の状態を定期的にチェックしながら
免疫力を意識した生活習慣を取り入れることが
大切です。
<関連記事>
|④腸内環境の乱れによる免疫力低下
腸は“最大の免疫器官”と呼ばれ、
免疫細胞の約7割が腸に存在しています。
そのため、腸内環境が乱れると免疫機能も大きく影響を
受けます。
便秘・下痢が続く、偏った食事、抗生物質の影響などで
腸内細菌のバランスが崩れると、外敵に対する防御力が
低下するほか、腸粘膜のバリア機能が弱まり、
炎症が起こりやすくなります。
また、腸内環境はストレスや睡眠にも密接に関係して
いるため、生活リズムの乱れも腸と免疫の弱体化に
つながります。
発酵食品や食物繊維を意識して取り入れ、
腸を休ませる時間を作ることが免疫の土台づくりに
なります。
|⑤治療や病気に伴う免疫力低下(がん治療など)
がん治療(化学療法・放射線治療)は、
がん細胞を攻撃する一方で、正常な免疫細胞にも影響を
及ぼすことがあります。
そのため、治療中は感染症にかかりやすく、
免疫ケアが特に重要になります。
高齢者や慢性疾患を抱える方も
免疫力低下が起こりやすくなるため、
体調管理が欠かせません。
また、治療後も免疫回復には時間がかかる場合があり、
医療機関と連携して状態を確認しながら生活することが
望まれます。
近年では免疫細胞を活性化する治療や、
体の回復を助けるサポート医療も増えており、
選択肢は広がっています。
<関連記事>
免疫力低下によって起こりやすい症状・サイン

|風邪をひきやすい
免疫力低下により、ウイルスに対する初期防御が
十分に働かず、風邪を繰り返しやすくなります。
「季節の変わり目にいつも体調を崩す」
「治るまでに時間がかかる」という状態が続く場合、
免疫低下のサインかもしれません。
特に鼻・喉の粘膜は免疫細胞が集まりやすい場所で、
乾燥や疲れによって防御機能がさらに弱くなります。
|疲れが抜けない
免疫力が低下している状態では、
体が常にストレスを受けているような状態になり、
慢性的な疲労感が続きます。
睡眠を取っても回復しにくい、だるさが続く
といった感覚は要注意です。
|肌荒れ
皮膚は外敵から守る“バリア”です。
免疫が落ちると炎症が起こりやすくなり、
大人ニキビ・乾燥・湿疹などの肌トラブルが増えます。
また、腸内環境の乱れも肌状態に直結します。
|傷の治りが遅い
免疫細胞は、傷ついた組織の修復にも関わっています。
免疫低下があると傷の治りが遅く、細菌感染のリスクも
高まります。
今日からできる免疫対策|生活習慣の改善ポイント

|栄養バランス(たんぱく質・ビタミン・腸内環境)
免疫細胞の材料となるのはたんぱく質であり、
肉・魚・卵・大豆製品をしっかり摂ることが基本です。
ビタミンA・C・D、亜鉛なども免疫細胞の働きに必須
であり、食事だけで補いにくい場合は医師に相談のうえ
サプリを活用するのも選択肢です。
腸内環境を整えるために、発酵食品・食物繊維も
意識しましょう。
|適度な運動・深い睡眠の役割
軽い運動は血流を改善し、免疫細胞が体内を
巡りやすくなります。
具体的には、ウォーキングやストレッチが最適です。
また、睡眠中は免疫細胞が活性化し体を修復します。
就寝1~2時間前の入浴やスマホの使用制限など、
質の高い睡眠の確保が免疫維持に不可欠です。
|ストレスケア(自律神経の調整)
ストレスが続くと免疫は確実に落ちます。
深呼吸、ヨガ、軽い運動、趣味時間など、
意識的にリラックス時間をつくることが重要です。
自律神経のメリハリを整えることが免疫力を守る鍵に
なります。
医療機関で相談できる免疫ケアの選択肢

|免疫状態を調べる検査(NK活性など)
医療機関では、血液検査で「NK細胞活性」などの
免疫指標を測定できます。
自分の免疫状態を客観的に知ることで、
生活改善や治療方針の参考になります。
特に「風邪をひきやすい」「疲れが取れない」
と感じる方は、一度測定しておくと安心です。
|免疫力低下に対するアプローチ(NK細胞・樹状細胞)
免疫細胞を活性化する方法として「免疫細胞治療」が
あります。
採血した自身の免疫細胞を体外で増殖・活性化させ、
体内に戻すことで免疫力の強化を目指す治療です。
特にNK細胞療法・樹状細胞療法は、
がんの再発予防・体調維持を希望する方に選ばれて
います。
生活習慣の改善と組み合わせることで、
免疫の土台からケアすることが可能です。
<関連記事>
まとめ:免疫力低下を防ぐ第一歩

|生活習慣+医療サポートが効果的
免疫力は生活習慣・ストレス・加齢など、
さまざまな要因で変化します。
まずは食事・睡眠・運動という基本を整え、
そのうえで医療機関で免疫状態をチェックすると、
より確実なケアが可能になります。
|継続的なケアが免疫力低下を防ぐ
免疫力は“一度上げて終わり”ではなく、
生活に合わせて変動します。
無理のない範囲で続けられる改善策と、
必要に応じた医療サポートを組み合わせ、
自分の体を長期的に守る意識を持つことが大切です。
<関連サービス>
<参考文献>
2025/12/16掲載
2026年2月6日更新






