幹細胞治療の費用はどれくらい?相場・費用の違い・治療院選びのポイントを徹底解説

記事の監修
グランソール奈良 院長辻村 貴弘
<経歴>
| 2000年3月 | 奈良県立医科大学大学院薬理学専攻修了 |
|---|---|
| 2001年4月 | グランソール奈良開設 院長に就任 |
| 2005年3月 | 医療法人拓誠会 辻村病院 理事長に就任 |
| 2010年3月 | 京都府立医科大学大学院免疫・微生物学専攻修了 資格:医学博士、日本人間ドック学会認定医 |
~はじめに~
再生医療のひとつとして注目を集める「幹細胞治療」には、一体どれくらいの費用が必要なのか。
加齢や病気などで損なわれた細胞の再生を促すことで、関節疾患や脳の後遺症、動脈硬化など幅広い分野で研究・臨床応用が進んでいます。
治療の効果等が期待されていますが、その多くは自由診療で行われるため、治療費は「全額自己負担」となります。
そこで、「治療費はいくらかかるの?」「どんな違いがあるの?」と疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、幹細胞治療の仕組みから費用相場、治療院を選ぶ際の注意点まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
幹細胞治療とは
幹細胞治療とは、名称の通り「幹細胞」を用いた治療方法であり、損傷した組織や臓器の修復を促す再生医療の一種です。
「幹細胞」とは、体の中でさまざまな細胞に変化・分化する能力を持つ細胞です。
自身の脂肪や骨髄などから採取した幹細胞を培養・投与することで、炎症の抑制や組織の再生を促進し、従来の治療では改善が難しかった症状の緩和や機能回復の一助となることを目指します。
たとえば、変形性関節症・脳梗塞後遺症・認知症・動脈硬化症など、加齢や疾患によって機能が低下した部分にアプローチできることが特徴です。
薬や手術に頼らない「自分の細胞を使った治療」として、近年注目が高まっています。
幹細胞治療の仕組みと目的
幹細胞治療とは、体内に存在する「幹細胞」という特殊な細胞を利用し、損傷した組織や臓器を修復・再生させる再生医療の一種です。
幹細胞は、さまざまな種類の細胞に変化できる「分化能」と、自らを複製して増える「自己複製能」を持っています。
これらの特性を活かすことで、加齢や病気で衰えた機能を回復させることが可能になります。
薬や手術のように症状を一時的に抑えるのではなく、根本から体の再生を促すことが目的です。
特に近年は、整形外科、神経内科、循環器科、さらにはアンチエイジング領域まで幅広く応用が進んでいます。
どんな疾患や症状に効果が期待されるのか
幹細胞治療は、変形性関節症や脳梗塞の後遺症、心疾患、糖尿病性合併症、動脈硬化など、加齢や生活習慣に関連した慢性疾患への応用が進んでいます。
たとえば、関節のすり減りによる痛みや可動域制限の改善、神経の修復促進、血管再生による血流改善などが主な目的です。
また、美容・アンチエイジング分野でも、肌の再生や疲労回復、免疫力向上といった効果が期待されています。
治療の目的や適応範囲は患者様の状態によって異なるため、医師の診断のもと、最適な治療法を選択することが大切です。
幹細胞治療の費用相場
幹細胞治療は保険適用外の自由診療にあたるため、医療機関によって費用は異なります。
また、対象目的(対象疾患)や治療方法によっても大きく異なります。
一般的な相場は、1回あたり約100万円〜300万円前後が目安です。
費用の幅が大きい理由としては、採取する細胞の種類(脂肪由来・骨髄由来など)、培養方法、投与回数、治療目的(関節・脳・皮膚など)によってコストが異なるためです。
また、初回は検査費用や培養費用が加算されることが多く、継続治療の場合は2回目以降の費用が抑えられるケースもあります。
信頼できる医療機関では、治療前に必ず見積もりや費用の内訳を説明してもらえるため、不明点は必ず確認することが大切です。
幹細胞治療の一般的な費用相場と治療内容の関係
幹細胞治療の費用は、1回あたり約100万円から300万円前後が一般的です。
費用の幅は、採取する細胞の種類や量、培養工程、投与方法、回数などによって変動します。
例えば、脂肪由来幹細胞を使用した関節治療は比較的リーズナブルですが、全身投与や複数回の再生治療となると費用は高くなります。
また、培養や検査を専門施設で実施する場合は、安全性が高い分コストも上がります。
単に価格だけを比較するのではなく、治療に含まれる内容と安全管理の質を確認することが重要です。
他の再生医療・自由診療との費用比較
幹細胞治療は、PRP(多血小板血漿)療法やエクソソーム療法など、他の再生医療と比べると費用が高めに設定されています。
これは、幹細胞の培養や検査、投与に高い技術と安全基準が求められるためです。
一方で、PRPやエクソソーム療法は数万円〜数十万円で受けられるケースもありますが、細胞そのものを治療に活用する幹細胞治療とは作用の仕組みが異なります。
もちろん費用面も重要ですが、治療目的や改善したい症状、持続効果の違いを踏まえて比較検討することが大切です。
幹細胞治療の費用が治療院によって異なる理由
幹細胞治療の費用は、単に「高い・安い」だけで比較できるものではありません。
大きな違いを生む要因には、次のような項目があります。
- 培養技術と管理体制の違い
厚生労働省の認可を受けた細胞加工施設(CPC)での培養かどうかによって、安全性やコストが変わります。 - 使用する幹細胞の種類と投与量
脂肪由来か骨髄由来か、あるいは培養後に何億個の細胞を投与するかによって費用が異なります。 - 投与方法(点滴・関節注入など)
関節内注入や静脈点滴など、部位や目的に応じて方法が異なります。 - 治療目的や症状の重症度
全身のアンチエイジング目的なのか、疾患治療を目的としているのかによっても内容が変わります。
このように、費用は単なる価格差ではなく、「治療の質」や「安全性」「目的との適合度」に直結しています。
幹細胞の種類(自己・他家)による違い
幹細胞治療では、「自己幹細胞」と「他家幹細胞(ドナー由来)」のどちらを使うかで費用が異なります。
自己幹細胞は自分の脂肪や骨髄から採取するため、拒絶反応の心配が少なく安全性が高いと言われていますが、採取手術や培養に手間とコストがかかります。
他家幹細胞は、健康なドナーの幹細胞を使用するため採取の負担がなく、即時治療が可能ですが、培養や検査のコストが加わります。
どちらが適しているかは治療目的や体調によっても異なるため、医師の判断のもと選択することが大切です。
治療方法・投与回数・培養技術の差
治療にかかる費用は、どのように幹細胞を投与するか、何回行うかによっても変わります。
例えば、関節内注射や局所投与に比べ、全身への点滴投与は細胞量が多く必要となり、費用も上がります。
また、幹細胞を高品質に増やすための培養技術も重要です。
認可を受けた細胞加工施設(CPC)で行われる培養は、安全性が高い分コストもかかります。
さらに、1回だけでなく、数ヶ月おきに複数回治療を行うことで効果の持続・向上を目指すケースもあり、トータルコストはその回数に応じて変化します。
施設ごとのサポート体制・安全管理コスト
幹細胞治療の費用には、実際の治療だけでなく、安全管理やサポート体制にかかるコストも含まれています。
特に、幹細胞の採取から培養・保管・投与までを一貫して管理している施設では、感染防止や品質維持のための高度なシステムが整備されています。
また、治療後の経過観察(評価)や再投与に関するサポート、検査費用なども含まれることがあります。
こうした体制の整っている医療機関は、費用は高くなる傾向にありますが、安全性と信頼性を重視する上では重要なポイントです。
保険適用の有無や医療費控除
幹細胞治療は現在、一部の疾患を除いて保険適用外の自由診療になります。
そのため、治療に係る費用は全額自己負担となります。
治療費は決して安価でなく、治療院によっても異なるため、複数の医療機関を比較することが大切です。
加えて、費用だけでなく培養環境やサポート体制も重要な判断基準となります。
また、治療目的を明確にしたうえで、どの治療方法を選択するべきかを考えましょう。
QOL(身体状態)に直結するからこそ、価格だけでなく「納得できる治療内容」を重視された方は、治療後の満足度も高くなると感じております。
自由診療としての位置付け
幹細胞治療は、現時点では自由診療(保険適用外)として行われる医療です。
これは、再生医療等安全性確保法に基づき、厚生労働省の承認を受けた医療機関でのみ実施が認められている特殊な治療であるためです。
保険診療のように全国一律の料金設定ではなく、医療機関ごとに培養方法・投与技術・検査体制などが異なるため、費用にも差が生じます。
自由診療である分、新たな技術や個々の体に合わせたオーダーメイドの治療が可能となります。
一方で、治療を検討する際は、費用や内容について事前にしっかり確認することが大切です。
医療費控除や助成金制度は使える?
幹細胞治療(再生医療)は基本的に自由診療ですが、医療費控除の対象となる場合があります。
条件として、治療目的であり医師の管理のもとに行われることが前提です。
つまり、美容目的や健康増進が目的の場合は対象外となります。
また、自治体によっては再生医療や難病治療の一部を助成する制度を設けている場合もあります。
治療前に居住地の自治体や税務署へ確認すると安心です。
保険が使えない分、このような制度を上手に活用することで、費用負担を少しでも軽減できる場合があります。
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治療院を選ぶ際の注意点
幹細胞治療は高度な技術を伴う再生医療のため、医療機関選びが重要なポイントになります。
まず確認すべきは、その施設が厚生労働省に「特定細胞加工物製造許可」または「再生医療等提供計画番号」を届け出ているかどうかです。
これらの認可を受けていない施設での治療は、法律上認められていません。
また、医師が幹細胞治療に関する十分な経験と専門知識を持っているか、治療前後のフォロー体制が整っているかも大切です。
その他、治療前のカウンセリングで不明点を丁寧に説明してくれるかどうかも、信頼できる医療機関を見極める一つの基準となります。
安全で効果的な治療を受けるためにも、「費用」だけでなく「信頼性」を重視して選びましょう。
認定再生医療等委員会の承認を受けているか
幹細胞治療を受ける際に最も重要なことは、医療機関が「再生医療等提供計画」を提出し、厚生労働省の認可を受けているかどうかです。
この承認には「認定再生医療等委員会」の審査が必要であり、安全性・倫理性・管理体制が厳しく確認されます。
未認可の施設での治療は、法的にも安全面でも大きなリスクが伴うため避けるべきです。
公式サイトなどで「計画番号」などの承認内容が明記されているかをチェックしましょう。
認可施設であれば、幹細胞の取り扱いや感染管理も適正に行われており、安心して治療を受けられます。
培養施設(ラボ)の品質管理体制を確認
幹細胞の品質は、どのような培養環境で管理されているかによって大きく左右されます。
細胞を増やす過程では、温度・湿度・無菌環境などを厳密にコントロールする必要があり、この設備を整えた施設が「CPC」と呼ばれます。
CPCは「細胞培養加工施設(Cell Processing Center)」の略であり、認可を受けたCPCでは国の基準に基づいて細胞の培養・検査・保管が行われ、外部からのコンタミネーション(汚染)を防止しています。
治療を受ける前に、その医療機関が自社CPCを持っているか、またはどのCPCと連携しているかを確認すると、安全性の高い治療院を選択できます。
説明責任・治療後フォロー体制の有無
幹細胞治療は、1回の施術だけで終わるものではありません。治療後の経過観察やアフターケアも重要です。
信頼できる医療機関では、治療前にリスク・副作用・期待できる効果を丁寧に説明し、患者様が納得した上で治療を進めます。
また、治療後のフォローアップとして、血液検査や画像診断等による評価行い、効果の持続や体調変化を確認する体制を整えています。
説明を十分に行わない、または治療後の対応が曖昧な施設は避けるべきです。
安心して治療を受けるためには、信頼関係を築ける医療機関を選ぶことが何より大切です。
グランソール奈良の幹細胞治療と費用の考え方
当院では、患者様の身体状態はもちろんのこと、治療に対する考え方や治療後に望むことなどを考慮して治療方針を決定します。
期待される効果だけでなく、起こりうるリスクや費用もきちんと説明をし、患者様やご家族様も理解したうえで治療を行うことが何より大切だと考えています。
当院は、院内にCPCを併設しているだけでなく、常駐の研究員が日々研究に励んでおります。
患者様に安全で質の高い治療を提供できるよう努めています。
患者様一人ひとりに合わせた治療提案
グランソール奈良では、患者様の年齢・疾患・生活習慣・体質に合わせて治療内容をご提案しています。
事前のカウンセリングでは、患者様の負担や目的に応じてご説明します。
そして、カウンセリング内容や検査等のデータをもとに、治療方針を個別に設計します。
画一的な治療ではなく、根本からの健康回復と生活の質(QOL)向上を目指すことが、当院の幹細胞治療の特徴です。
高水準の培養技術と安全性の確保
当院の幹細胞治療は、厚生労働省の認可を受けた院内併設CPC(細胞培養加工施設)との提携により、厳格な品質管理のもとで行われています。
細胞の採取から培養・投与に至るまで、無菌環境で徹底した検査を実施。
安全性と有効性を両立するために、国内基準を上回る品質管理体制を整えています。
また、投与後も定期的な評価とカウンセリングを行い、効果の持続や体調変化を確認します。
医療機関としての責任を果たすため、安全で信頼できる再生医療を提供しています。
明瞭な費用体系と安心のサポート体制
グランソール奈良では、患者様に合わせた治療内容と費用の透明性を重視しています。
治療前には、検査費用・培養費・投与費などを含めた総額を明確にご案内し、追加費用が発生しないよう配慮しています。
カウンセリングの段階で費用の内訳や治療内容を丁寧に説明し、ご納得いただいたうえで進行します。
また、治療後も医師・コンシェルジュによるフォローアップ体制を整え、長期的な健康維持をサポート。
安心して幹細胞治療を受けられるよう、誠実な医療サービスを提供しています。
関連サービス
<再生医療等提供計画番号>
- 計画番号 PB5210002「脳卒中に対する自己脂肪組織由来幹細胞を用いた治療」
- 計画番号 PB5210013「認知機能障害に対する自己脂肪組織由来幹細胞を用いた治療」
- 計画番号 PB5210009「動脈硬化に対する自己脂肪組織由来幹細胞を用いた抗加齢治療」
- 計画番号 PB5240066「変形性関節症など運動器変性疾患およびスポーツ傷害に対する⾃⼰脂肪組織由来幹細胞治療」
当クリニックは第二種再生医療等提供計画を提出し、厚生労働省から認可を受けています。
<施設番号>
- FC5140001:グランソール奈良細胞培養加⼯施設
- FC5200061:グランソール奈良第⼆細胞培養加⼯施設
当院の幹細胞は院内にあるグランソール奈良第⼆細胞 培養加⼯施設で培養しております。
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<参考文献>
厚生労働省「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療安全法)」











