免疫療法とは?免疫の仕組みや治療内容を図解でわかりやすく解説

記事の監修
グランソール奈良 院長辻村 貴弘
<経歴>
| 2000年3月 | 奈良県立医科大学大学院薬理学専攻修了 |
|---|---|
| 2001年4月 | グランソール奈良開設 院長に就任 |
| 2005年3月 | 医療法人拓誠会 辻村病院 理事長に就任 |
| 2010年3月 | 京都府立医科大学大学院免疫・微生物学専攻修了 資格:医学博士、日本人間ドック学会認定医 |
免疫療法とは、
がん治療において近年注目される治療法です。
本記事では、免疫療法の種類や仕組み、
副作用まで図解付きでわかりやすく解説します。
今回は、第4のがん治療としても注目される
「免疫療法」を紹介します。
近年、少子高齢化が加速するわが国では
およそ2人に1人は生涯のうちに「がん」と診断される
というデータが出ています。
によると、日本人のがん診断率は
男性62.1%、女性48.9%(2020年データ)
がんで死亡する確率は
男性24.7%、女性17.2%(2023年データ)
かつての『がんは不治の病』という認識は、
大きく変化しています。
医療の発展により、がんは早期発見と早期治療で
治る確率が高まりつつあります。
免疫療法とは
免疫療法とは、人間に備わっている「免疫力」を活用した
治療方法のことです。
大きく分けると2種類の治療方法があります。
一つ目は「がん免疫細胞治療」など、
免疫の攻撃力を高める方法。
二つ目は「免疫チェックポイント阻害薬」を使用して、
免疫を抑制するブレーキを解除する方法です。
本記事では、免疫の攻撃力を高める
「がん免疫細胞治療」を中心に説明します。
|「免疫」とは?

免疫とは、細菌やウイルスの侵入を防ぎ、
体を守る仕組みです。
私たちの身体は、免疫システムが正常に機能すること
によって健康な状態を維持しています。
しかし、加齢や生活習慣などさまざまな要因によって
免疫力の低下が起こります。
免疫力が低下すると、風邪やインフルエンザ、がんなどの
病気になりやすいと言われています。
|免疫細胞の種類
免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の主に二つが
あります。
▪自然免疫:生まれつき備わっていて、抗原体やがん細胞を発見して排除する。
⇒NK細胞、NKT細胞、好中球、マクロファージなど
▪獲得免疫:侵入してきた細胞やウイルスを記憶し、当てはまる抗体を作って排除する。
⇒T細胞、B細胞、樹状細胞など
免疫力の中心を担っているのが
リンパ球やマクロファージなどの細胞です。
その中でも、異常細胞を排除する役割を担うのが
「T細胞」や「NK(ナチュラルキラー)細胞」、
「NKT細胞」と呼ばれるリンパ球です。
他にも、がん細胞を貪食・消化することで
がん細胞の特徴をT細胞へ伝達し、
T細胞を活性化させてがん細胞への攻撃を促す
働きをする「樹状細胞」があります。
|免疫力を高める方法
近年は、「免疫力を高める方法」として
さまざまな食品やサプリメント、運動などが紹介
されています。
そんな中、あまり知られていない方法として免疫療法が
あります。
例えば、「活性化自己リンパ球療法」は、免疫の
バランスを調整して正常化させる効果が期待できます。
免疫療法の流れや安全性
免疫細胞治療は大きく2種類に分けられます。
「活性化自己リンパ球療法」と
「樹状細胞ペプチドワクチン療法」です。
・活性化自己リンパ球療法
⇒ご自身の免疫細胞を増殖・活性化させて、再び体内へ戻すことで免疫力のバランス調整・正常化を図る治療方法。
「NK細胞療法」、「T細胞療法」、「γδNKT細胞療法」があります。
・樹状細胞ペプチドワクチン療法
⇒ご自身の樹状細胞に体外でがんの特徴を覚えさせ、体内へ戻すことで免疫細胞にその特徴を教え、がん細胞への攻撃を図る治療方法。
|免疫療法の流れと治療期間
治療の流れは次のとおりです。
1.血液(約50㏄~100㏄)を採取
2.リンパ球を分離し、培養・活性化(約3週間)
3.点滴で体内へ戻す(約1時間)
※樹状細胞療法の場合、培養の際にがんの情報を覚えさせる。
1回の治療に必要な期間は約3週間で
、一般的には6回1クールが推奨されているため
約4~5ヶ月が目安となります。
ただし、再発予防や免疫力向上が目的の方は
半年に1回や年に1回など、人それぞれ実施期間は
異なります。
|免疫療法で期待される効果と副作用
免疫細胞治療によって期待される効果はいくつか
あります。
まず、免疫細胞の攻撃力が向上することです。
ご自身の免疫力向上によってがん細胞の活動を抑制し、
体内から除去することが期待されます。
次に、標準治療で取り残した微細な「がん」を
免疫細胞治療によって除去することが期待できます。
つまり、再発予防としての効果も期待されています。
さらには、標準治療と併用することで
相乗効果も期待できます。
しかし、治療効果には個人差があり、
必ずしも効果を保証するものではありません。
ご自身の免疫細胞を使うため、副作用は
ほとんどありません。
稀に発熱を生じることなどがありますが、
これは免疫が活発化している証拠であり、
時間の経過と共に治ることが一般的です。
「吐き気」や「脱毛」などの副作用は、
標準治療に比べて極めて少ないとされています。
|免疫療法の安全性について
日本では、平成26年11月に
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」
が施行されました。
それに伴い、再生医療等の安全性の確保に関する
手続きや細胞培養加工のルール等が定められました。
つまり、再生医療等を提供しようとする医療機関
又は特定細胞加工物を製造しようとする場合は、
事前に所定の手続きが必要となりました。
手続きをしてない場合は法律違反となり、
罰則が適用されることになりました。
詳しくは下記参考資料をご確認ください。
▾参考資料:厚生労働省より「再生医療等の安全性の確保等に関する法律について」
免疫療法の対象者

治療の対象となるのは以下の方です。
- がんに罹患している方(一部の白血病等を除く)
- 過去にがんを罹患したことがあり再発を予防したい方
- がんの予防をしたい方
治療の目的や治療対象者の状態等によって
回数や治療期間等が異なるため、次に詳しく
紹介します。
|がんに罹患中の方
(一部の白血病等を除く)がんに罹患中の方は、
病期(ステージ)やがん種に関わらず対象となります。
病期に関しては、できる限り早い時期から治療すると、
より高い効果を期待できます。
標準治療(手術、放射線治療、抗がん剤治療)を
行っている方も対象となり、併用することで相乗効果が
期待されています。
治療を行う際は通院する必要があります。
|過去にがんを罹患した方
免疫細胞治療は、微細な「がん(細胞)」を除去
することが期待されています。
過去、がんになった経験がある方は、
「微細ながん(細胞)」が残っている可能性があります。
そのため、再発が心配な方にも免疫細胞治療を
お勧めいたします。
再発する確率が最も高い期間は、
がんの診断を受けてから5年間までと言われています。
しかし、5年間で再発しなければ以降は再発しない
ということではなく、5年を経過しても再発の可能性は
あります。
再発予防として免疫細胞治療を検討されている方は
お気軽にお問い合わせください。
関連記事
|免疫療法でがんを予防したい方
近年、日本人の約2人に1人が
生涯のうちに『がん』になると推定されています。
によると、下記のようなデータが出ています。
▾一生のうちにがんと診断される確率(2020年データ)
・男性 62.1%
・女性 48.9%
▾がんで死亡する確率(2023年データ)
・男性 24.7%
・女性 17.2%
加齢や生活習慣の乱れが気になっていたり、
がん家系で心配な方は、免疫細胞治療によって
免疫力のバランス調整による正常化が期待できます。
がんのメカニズム

基本的にがんの発生要因は、
遺伝子が傷つくことによるものです。
では、なぜ遺伝子に傷がつくのか。
その要因は一つに限ったことではありません。
今のところ、日本人を対象とした研究では、
喫煙や過度な飲酒、塩分の多い食事、
野菜や果物を摂らない・太りすぎや痩せすぎ、
運動不足・ウイルスや細菌への感染が要因だと
言われています。
|がん細胞と免疫細胞の関係
遺伝子の変異によるがん細胞の発生は、
日々私たちの体内で起こっています。
その数は一日で約5000個とも言われています。
しかし、免疫細胞が正常に機能していれば、
がん細胞が「がん化」することを防いでくれます。
一方で、免疫力の低下等によって免疫システムを
回避したがん細胞は分裂・増大を続けます。
|がんの発生過程と免疫療法のアプローチ

遺伝子に異変が起きてから「発がん」するまでの期間は
およそ5~20年あるとされています。
また、発がんしてから転移や拡大が起こるまでの期間は
およそ1~3年だとされています。
つまり、早期発見と早期治療が重要なことはもちろん、
できるだけ遺伝子の異変が起こらないように
その要因を取り除くことが重要だと考えられます。
免疫療法にかかる費用

免疫細胞治療などの免疫療法は
保険適用外のものが多いため、医療機関によって
費用が異なります。
受診を検討する際は、医療機関に直接確認しましょう。
目安となる金額を次に詳しくご紹介しますので、
ぜひ参考にしてみてください。
|免疫療法にかかる治療費の目安
グランソール奈良で実施している免疫細胞治療の
費用をご紹介いたします。
1回あたりの治療費は、
286,000円~352,000円(税込)
初診料11,000円(税込)と
感染症検査5,500円(税込)が別途必要。
治療に使用する細胞の種類によって異なるため、
詳しくはお問い合わせ下さい。
その他、必要に応じて各種検査を行う場合があります。
関連記事
|免疫療法のプラン例と費用シミュレーション
治療回数や治療期間については、
目的や患者様の状態によって異なります。
がん治療として受けられる場合は、
基本的に1クール6回が推奨されています。
1回あたりの治療(細胞の培養・活性化)に
約2~3週間かかるため、治療期間はおよそ3~4ヶ月ほど
かかります。
しかし、入院の必要はなく採血と点滴の際にのみ
通院する形となります。
~まとめ~

免疫細胞治療は、標準治療の限界を補う
ための次世代の治療法として多くの医療機関で
実施されています。
また、最近では再発予防やがん予防としても
注目されています。
ただし、公的医療保険の適用外であるため、
費用面で課題が指摘されています。
今後のさらなる発展にも期待が高まります。
<参考文献>
- グランソール免疫研究所|がん免疫学領域の研究を中心にがん治療・再生医療などに役立つ研究・技術開発・人材育成
- 免疫療法 もっと詳しく:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
- 再生医療について |厚生労働省
- 最新がん統計:[国立がん研究センター がん統計]
関連サービス
2025年3月28日掲載
2026年2月6日更新












